GROMACSのインストール

分子動力学

今回は、以前に紹介した分子動力学法のプログラムの一つ、GROMACSのインストール手順を紹介します。初めて計算化学をやってみる人にとって、大きな障害となる一つがLinux環境へのプログラムのインストールと思います。プログラムにもよりますが、インストール方法が複雑だったり、やり方が複数あったりと、混乱することが多々あります。そういった場合に、本記事を参考に頂ければ嬉しい限りです。

ここではGROMACSの標準的なインストール方法を紹介します。必要な手順は全て書くつもりなので、過去記事から同様の手順を踏んで頂ければ問題なくインストールできるはずです。実際に計算ができるまで、もう少しなので頑張ってくださいね!

GROMACSのインストール

では、GROMACSのインストール作業を始めましょう!冒頭でも述べましたが、ここでは標準的なインストールを行います。CPU計算のみを対象とした内容であり、GPU計算には対応していないです。このブログで紹介しているVirtualBoxの仮想環境では、GPU計算を行うことはないので、このインストール内容で十分です。ただ、GROMACSの最大のメリットはGPU計算による高速計算と言っても過言ではないため、実機でインストールする際にはGPU計算への対応を推奨します。詳細を知りたいかたはマニュアルを参照してください。
GROMACSマニュアルリンク:https://manual.gromacs.org/

前回の記事と同様に仮想環境を起動して、Tera Termで仮想環境にログインしてください。その後、以下の内容を1行ずつ入力していってください。これまた前回と同じ注意点ですが、「cmake ../ -DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON -DREGRESSIONTEST_DOWNLOAD=OFF -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=/home/seth/gromacs-2022.6/gmx_install」の部分は、自分のユーザー名に変更してください。「seth」の部分がユーザー名なので、その部分のみ変更いただければ大丈夫です。

もう一つ大事な注意点があり、「make -j4」の「4」の部分は並列数を示しています。VirtualBoxにAlmaLinuxインストールを実施した際に、プロセッサー数を指定しましたよね。もし忘れてしまったのであれば、過去の記事を参照してください。ここでは、プロセッサー数と同じ値、もしくはそれ以下の値を指定すればOKです。並列処理にどれだけのプロセッサーを用いるかを指定しており、この値が大きいほど早くインストールができることになります。

wget https://ftp.gromacs.org/gromacs/gromacs-2022.6.tar.gz
tar -xzvf gromacs-2022.6.tar.gz
cd gromacs-2022.6
mkdir build
mkdir gmx_install
cd ./build
cmake ../ -DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON -DREGRESSIONTEST_DOWNLOAD=OFF -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=/home/seth/gromacs-2022.6/gmx_install
make -j4
make check
make install

前回のCMakeのインストールと比較すると、GROMACSのインストールはそこそこ時間がかかります。最後の3行のmake部分にかなり時間を要するので、気長に待ちましょう。

最後まで完了したら、CMakeの際と同様にパスを追加していきます。「.bashrc」の一番下の行に、「export PATH=${HOME}/gromacs-2022.6/gmx_install/bin:$PATH」を追記すればOKです。パスの追加については、前回の記事も参考にしてみてください。パスを追加したら、「source .bashrc」を忘れずに実行してくださいね。

最後に、GROMACSのインストールがきちんと完了したかを確認するために、「gmx –version」と入力してください。以下のような表示が出力されればOKです!インストール作業お疲れ様でした。

                         :-) GROMACS - gmx, 2022.6 (-:

Executable:   /home/seth/gromacs-2022.6/gmx_install/bin/gmx
Data prefix:  /home/seth/gromacs-2022.6/gmx_install
Working dir:  /home/seth
Command line:
  gmx --version

GROMACS version:    2022.6
Precision:          mixed
Memory model:       64 bit
MPI library:        thread_mpi
OpenMP support:     enabled (GMX_OPENMP_MAX_THREADS = 128)
GPU support:        disabled
SIMD instructions:  SSE4.1
CPU FFT library:    fftw-3.3.8-sse2
GPU FFT library:    none
RDTSCP usage:       enabled
TNG support:        enabled
Hwloc support:      disabled
Tracing support:    disabled
C compiler:         /usr/bin/cc GNU 8.5.0
C compiler flags:   -msse4.1 -Wno-missing-field-initializers -fexcess-precision=fast -funroll-all-loops -O3 -DNDEBUG
C++ compiler:       /usr/bin/c++ GNU 8.5.0
C++ compiler flags: -msse4.1 -Wno-missing-field-initializers -fexcess-precision=fast -funroll-all-loops -fopenmp -O3 -DNDEBUG

おわりに

今回は分子動力学法のプログラムの一つである、GROMACSのインストール方法を紹介しました。手順通りに進めるだけなら簡単に見えても、その手順をマニュアルなどを参考に調べたりするのが結構大変なんですよね。そういったかたにご参考に頂けていると、筆者としても非常に嬉しく思います。もし、手順通りにやってみても上手くいかなかった場合は、コメント頂ければ可能な範囲で回答します。

次回からは分子動力学法を実践するための準備をしていきます。まずは、どういった手順で進めていくかをざっくりとお話しし、その後、実際の計算に入っていく予定です。なかなかブログ更新頻度が高くないですが、お付き合い頂ければ幸いです。

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