Minicondaのインストール

計算化学全般

今回および次回の記事では、分子動力学法を始める前の下準備を簡単に進めるにあたって、便利なプログラムの紹介をしていきます。分子動力学法で計算する際、前回の記事で紹介しましたが下準備が必要となってきます。その下準備を一つ一つ手作業で進めていくと、めちゃくちゃ大変で時間がかかるんですね。その下準備を簡単にしてくれるプログラムが、ありがたいことに無料で使えるようになっています。今回は、そのプログラムをインストールする手順を紹介していきます。

Anaconda・Minicondaについて

まず最初に、AnacondaとMinicondaについて紹介します。これらは分子動力学法のためのプログラムという訳ではなく、PythonとR用のディストリビューションツールです。ディストリビューションとは、ソフトウェアの集合体とだけ理解しておけばここではOKです。機械学習やデータサイエンスを始めるのに非常に便利なプログラムであり、それらにも興味のある人はおすすめです。

では、なぜそれらが分子動力学法の下準備に便利なのかというと、下準備用のプログラムを使える環境構築、およびインストールを容易にしてくれるからです。これから紹介していく下準備用のプログラムは、AnacondaもしくはMinicondaの環境があると、コマンド一つでインストールできるものが多いです。インストール作業は簡単に越したことはないですからね。

次にAnacondaとMinicondaのどちらを使うかですが、私はMinicondaを推奨します。特徴を簡単に下表にまとめましたが、この中の有償か無償かの観点でMinicondaが良いと思います。Anacondaは商用利用の場合、200人以上の組織であれば有料ライセンスが必要となります。詳細は以下リンクの規約を参照ください。また、Minicondaの場合でも有料ライセンスが必要とされてしまう使い方がありますので、その点は後述します。

リンク:https://legal.anaconda.com/policies/en?name=terms-of-service#terms-of-service

Minicondaのインストール

では、Minicondaのインストールを始めましょう!まずは以下リンクからインストーラーをダウンロードします。ここでは、Python3.11のLinux用インストーラーをダウンロードしてください。CMakeのインストールの際にも紹介していますが、赤枠部分を右クリックし、リンクのアドレスをコピーして仮想環境にてwgetコマンドを使うと手間を省けます。もちろん、リンクをクリックしてインストーラーをダウンロードし、WinSCPで仮想環境に持っていっても大丈夫です。

ダウンロードリンク:https://docs.anaconda.com/miniconda/miniconda-other-installer-links/

仮想環境へインストーラーを準備できたら、インストールを始めましょう。Tera Termで仮想環境にログインし、以下を入力してください。

bash Miniconda3-py311_24.7.1-0-Linux-x86_64.sh

しばらく利用規約が表示されますので、エンターを押しっぱなしにして進めていってください。すると、以下のように聞かれるので「Yes」と入力してください。

Do you accept the license terms? [yes|no]
Yes

次にインストール先を聞かれます、特に理由がなければデフォルトのところで良いので、そのままエンターを押してください。

Miniconda3 will now be installed into this location:
/home/seth/miniconda3

  - Press ENTER to confirm the location
  - Press CTRL-C to abort the installation
  - Or specify a different location below

最後に以下のように聞かれます、ここではyesとしてください。

You can undo this by running `conda init --reverse $SHELL`? [yes|no]
[no] >>> yes

これでインストールは完了です。ここで、一度.bashrcを確認してみてください。以下のような内容が追記されていると思います。

# >>> conda initialize >>>
# !! Contents within this block are managed by 'conda init' !!
__conda_setup="$('/home/seth/miniconda3/bin/conda' 'shell.bash' 'hook' 2> /dev/null)"
if [ $? -eq 0 ]; then
    eval "$__conda_setup"
else
    if [ -f "/home/seth/miniconda3/etc/profile.d/conda.sh" ]; then
        . "/home/seth/miniconda3/etc/profile.d/conda.sh"
    else
        export PATH="/home/seth/miniconda3/bin:$PATH"
    fi
fi
unset __conda_setup
# <<< conda initialize <<<

最後に、「source .bashrc」を実行してください。すると、Tera Termの画面が以下のように変わるかと思います。(base)と追記されていますね、これはMinicondaによって生成されたbase環境に入っていることを示しています。

実行前:[seth@localhost ~]$ 
実行後:(base) [seth@localhost ~]$

チャネルの変更

インストールは完了しましたが、大事な作業が一つ残っています。それは、使用するチャネルを変更することです。チャネルとは、様々なパッケージが管理されているところになります。インストールした状態ではdefaultチャネルが設定されているのですが、このチャネルを使用する場合は有料ライセンスが必要となります。そのため、無償で使えるチャネルに設定を変更します。

まず、「conda config –show channels」と入力してみてください。すると、以下のようにチャネルが表示されるはずです。defaultチャネルが設定されていますね。

channels:
  - defaults

defaultチャネルを削除し、conda-forgeチャネルを追加するため、以下のように入力してみてください。

conda config --remove channels defaults
conda config --add channels conda-forge

その後、再度「conda config –show channels」と入力してみてください。以下のように表示されるかと思います。同じように表示されていればOKです、conda-forgeチャネルは無償で使えるのでご安心ください。

channels:
  - conda-forge

おわりに

今回はAnacondaとMinicondaの簡単な説明、Minicondaのインストール方法を紹介しました。これらプログラムの有用性は実際に使ってみないとわからないので、次回の記事では準備したMinicondaの環境を使って、分子動力学法の下準備に便利なプログラムをインストールしてみます。めちゃくちゃ簡単なので、記事もめちゃくちゃ短くなってしまいそうですが・・・(笑)分子動力学法に活用するだけでなく、機械学習や自作のプログラムを扱うにも非常に便利なので、そのあたりも順次紹介していきます。

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